ある日常のお話

日常生活で感じたことをつらつら書き連ねるエッセイ風ブログです。Twitter:@ryusenji_narita

うつくしいせいかつ

マンションの灯りがそれぞれの扉を照らす時、きっと生活は平穏のもとでゆったりと流れ続けているのだろう。 僕の力の及ばないような幸せがあの部屋で流れていて、少し漏れ出ている甲高い喘ぎ声さえ、すうっと日常の一部に消えていく。 外の道路を歩く僕の小…

とある終電の夜

終電に乗り、今日も一駅寝過ごした。 疲れと酔いで身体が鉛のように重い。 改札口を出て、階段を降りたところで聞こえる酔いどれの宴の声がえげつなく脳内に響き渡り、僕の内側に黒い雫が零れ落ちて、ゆっくりシミになっていく。 一歩、また一歩歩くたびに一…

【短編】『ちょっとした話』

昼の食堂は嫌いだ。死体にアリが群がったかのように、人ごみでごった返している。 なぜこんなに狭く作ったんだろう。毎年3000人程が入学するということは分かっていながら、300人も入らないような食堂をたった一つしか作らないとあっては、その浅はかさに空…

街の記憶

偶然目白駅を降りた。 今まで一度も降りたことはなかった。 右も左もわからないので、自然、案内板を見る。 その日やるべきことはもうすべて終えていた。 どうせ、やることもない。 気分転換にと、池袋駅まで歩くことにした。 すると、どうやら駅の方面に庭…

適応と恭順

「住めば都」というよく知られたことわざがある。 これは「どんなに辺鄙なところでも住んでいればいずれ都のように住み心地が良くなる」という意味だ。 転じて今は「どんなにいやな環境でも長く居続ければ次第に慣れて気にならなくなる」という程度の意味で…

自己犠牲と書いて何と読む

働くのが好きだ。 なんていうと、星野源の「働く男」かと思ってしまうけども、働くと言っても仕事をするという意味ではない。 僕が好きなのは、例えば、飲み会とかでみんなが呑んだくれている時に、あえて自分はセーブして、ゴミを片付けたり、会計をしたり…

幸せはそこにある

今日はついてない日だった。 帰省から帰ってきたんだけれど、まあ、まず寂しい。 それだけでも憂鬱なのに、駅に着いて新幹線の切符を買おうと思ったら、大行列。 自由席を買って乗車するも、台風で遅延。 おまけにスマホの充電は切れるし、挙句充電器を家に…

入浴カタルシス

朝はやはりシャワーに限る。 いつ頃かの冬、寒さに耐えながら、ストーブの前でちまちまと着替えているのがだるくなり、いっそ全身をあたためようと入ったのがきっかけで、そのまま習慣となった。 朝、まだ寝惚け眼であるようなうちに、寝汗や痒みなどの、い…

アンドロイド人

意識と自我とは別のものに他ならない。 「我思う故に我あり」。 デカルトは考える意識をもって自己の存在を確認した。 しかし、意識は自我ではない。断じて。 私こそが自我の欠けた人間であるから。 この書記を書いている私はたしかに意識をもって行動してい…

ポーカーフェイス社会

人の表情というものは実に感情をよく表すものだとされる。 それ故に、ポーカーフェイスは感情を表に出さない表情という定義から無表情と捉えられることが多い。 しかし、無表情は時に無関心を表すし、放心を表したりもする。 決して無感情の表情などではない…

帰途

電車に乗っている。 独特のリズムで揺れる車内を見渡すと色々な人がいることに気づく。 隣の女子大生にもたれかかり、死んだように眠りこくるサラリーマン。 目の前の席が空いているのに、初デートなのかお互いにいいとこを見せようと頑なに座ろうとしない、…

早起き

私は早起きが苦手だ。 何もない日なら夜は3時くらいまでYouTubeやまとめサイトを漁るし、その所為で起床は平気で10時をすぎてしまう。 昔から寝るのがなんか時間を無駄にしているような感覚がして、不安になり、つい夜更かしをしてしまう、完全な夜型の人…

初めまして、竜泉寺成田です。

夜が明けるのが日に日に早くなり、今までは夜更かしで済んでいたような時間はとうに朝になってしまいました。 どうも、こんばんは。竜泉寺成田です。 日常の些細な出来事をどこかエッセイのように気ままに綴ろうと思い立ち、早朝の微睡みの中でいきおい当ブ…