ポーカーフェイス社会
人の表情というものは実に感情をよく表すものだとされる。
それ故に、ポーカーフェイスは感情を表に出さない表情という定義から無表情と捉えられることが多い。
しかし、無表情は時に無関心を表すし、放心を表したりもする。
決して無感情の表情などではない。
私はポーカーフェイスが得意だ。
そんなこと周りの誰も信じないだろうけど、とにかく私はポーカーフェイスが得意だ。
いつも笑っているね、と言われる。
無表情でいることは少ない。
それでも私はポーカーフェイスが得意だと言い切ろう。
私の中のポーカーフェイスは、感情を表に出さないこと。
決して目の前に現れている表情が感情そのものだと思ってはいけない。
表情と心情の間には乖離が存在することを忘れてはいけない。
現実は巧妙なポーカーフェイスの横行に過ぎない。
それが辞書の定義により隠されて我々の前に提示され、奇妙なポーカーフェイス錯誤が、リアルのポーカーフェイス社会を潤滑に動かし得ている。
さあ、ここで君に問おう。
君の目の前で笑っているあの娘は、本当に心から笑っているだろうか?
君はその彼女を見て微笑むが、果たしてその笑みは幸せか?